2013年1月27日日曜日

「ブランドとしての家族」にアイデンティティーを見出す父親

「ブランドとしての家族」にアイデンティティーを見出す父親

セレブとまでは行かなくても、今、J世代の親たちの間には「プチセレブ志向」が急速に強まりつつあると言っていいたとえば、今月10日に3周年を迎えたことを記念してイベントを開催した新宿伊勢丹メンズ館。イベントには、年間100万円を使う優良顧客1000人が招待されたという伊勢丹メンズ館は高級感あふれる木目調の内装が評判となり、今では東京の全百貨店での紳士服売上の3割を占めるまでに成長した。この成功を支えたのが、まさにプチセレブ的な家族、ブランドとしての家族を志向する父親たちなのであるこの連載の第2回で触れた『OCEANS』という男性高級ファッション誌も、まさにこのプチセレブ・ファミリーをイメージシンボルとして誌面の中心に置くことで新しい父親たちを掴まえることに成功しているルイ・ヴィトンにも負けないブランド…それが「家族」

今、新しい家族を志向する父親たちは、自らの家族に、海外の高級ブランドに勝るとも劣らない「ブランド」としての価値を持たせたいと考えている中高一貫校人気、お受験の再燃、『プレジデントファミリー』のヒットなど、この連載でも取り上げてきた一連の教育ブームの過熱は、家族ブランドのシンボルとも言える子どもの価値を磨き上げようとする思いに他ならない子どもの学校やスポーツ、芸術分野での成功は、もっとも分かりやすいブランドのステータスアップになるのである。浅田真央や宮里藍のようなスポーツ少女たちが、彼らの家族ブランドをいかに輝かせているかを考えてみれば、このことはよく分かるまた、前回書いた「総合的な人間力・家族力」を育てたいという父親たちの意識も、自らの家族ブランドに高いクオリティと魅力を持たせたいという志向の表れと言っていいのである。かつて、ルイ・ヴィトンやプラダといったファッションブランドや一流企業の名刺で作り上げた自らのアイデンティティーを、今度は理想の家族をブランドとして社会に示すことで作り上げたいと、彼らは考えているのであるこの連載のタイトルを「家族ブランディング」としたのは、こういった新しい父親たちの「ブランドとしての家族」志向を意識してのことなのだ※文中のリンクは編集部が作成したものですあいはら ひろゆき

1961年仙台市生まれ,ダークブラッド RMT。早稲田大学第一文学部卒。大手広告代理店のマーケティングプランナーを経て2000年バンダイ入社。バンダイキャラクター研究所所長として数々の調査研究に従事。2002年に香山リカ氏との共著『87%の日本人がキャラクターを好きな理由』を発刊し、話題に。その後も現代の家族などをテーマにした調査研究を行っている。また、絵本作家としても著名で代表作『くまのがっこう』シリーズは70万部を超えるヒットシリーズとなっている。講演、他著作も多数,ドラゴンクエスト10 RMT。自らも小学1年生の娘を持つ父親として日夜「家族ブランディング」に励んでいる。
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